高知県農産物の首都圏への物流システム

農産物等、一次産業が中心な高知県にとって、大消費地である首都圏への安定した、効率の良い、そして、安価な物流の仕組みを構築することで、高知県産品の市場での競争力を高めることは多くの生産者の願いであります。

現状では、多くのトラック事業者の懸命な努力にもかかわらず、物流量がまとまらない、首都圏への物流システムが不十分であるために、生産者、トラック事業者、販売者、3者がウインウインの状況ではないのです。

従って、運賃負担力のない一次産品に占める輸送関連の比率は、他県に比べて高いといわざるをえません。

勿論、高知県には園芸連・JAのすぐれた輸送システムが大きな力になっていますが、生産者と買手の直接取引が増えていること、カット野菜やカットフルーツが商品の主流を占めていること等で、流通形態も大きく変化してきている。

例えば、弊社が栽培している、ネギの種類は青ネギでその多くは、根の部分を残して畑から刈り取り、外側の部分を取り除き(そぐり作業)10キロ箱(140サイズ)高さ70センチ,横と奥行は30センチと40センチ(0.084m3)に入れると、現在の商品価格はキロ当たり平均で250円即ち10キロで2500円程度です。

これを宅配で首都圏へ送ると1,100円更にクール便にすると+1,000円になり、商品代金と運賃がほとんど変わらない、運賃比率は45%以上、輸送コスト段ボール代を入れると50%になります。

地元の園芸連やJAは生産者からの多くの農産物を取扱っていて、それなりの仕組みができていますが、生産者が買い手や加工業者と直接取引が増えている中では、生産者それぞれが物流事業者と交渉しなければなりません。

少量ですと、ヤマト運輸、佐川急便、それに郵政に依頼するケースが殆どで、宅配運賃になります、ある程度まとまった量になると、運送業者との交渉になりますが、運送業者側もそれぞれの運航計画がありますので生産者側の意向に沿えるのには限界があります。

高知の高速のインターの近くにターミナルを持つN物流はクール便専門で運賃もかなり安く運んでくれる運送事業者ですが、貨物量と頻度、配達先を限定して荷受する仕組みです、何故なら、彼らの運航経路上で、荷受が24時間できるところ、即ち市場か、その外郭でないと運航時間が読めないので断られます。

更に高知県の場合、東西が長いので、物流事業者にとっても集配に時間とコストが掛かりそれも運賃高に影響しています。

長距離輸送の車は高松や徳島あたりまでは入ってきますが、高知県まで入り込んでくる車は少ないのです。

従って、どこかでの中継所が必要になります。

それでも、何とか多くの生産者の直接取引をサポートするための仕組みを構築したいと考えています。

それには、生産者ごとの商流を把握することと、物流事業者の運行の現状を調査することが必要と考えています。

一生産者の仕組みではなく、多くの生産者が望む仕組みを、専門家を交えて検討中です。

今後の運転手不足の状況も踏まえ、鉄道を利用した輸送に関しても取り入れる予定です。

平成31年2月13日 鍵山 武男

2023年春からのNHKの朝ドラは『らんまん』

『らんまん』というNHKの朝ドラが今高知県でも注目されています。

牧野富太郎という植物学者は世界的に知名度が高く、牧野植物園も高知の観光スポットとしては有名になっています。

詳細に関してはまだ発表されている部分は少ないですが、主演は神木隆之介、脚本は長田育恵さん、制作は松川博敬さんとのことです。

らんまんについての詳細はこちら

令和4年2月09日 ゆう

養鰻

大学の先輩で、長くインドネシアでゼネコンの社長をされ、その後もインドネシアに知人が多く、独自の才覚で多くのビジネスを手掛けられているM先輩から、養鰻に関して相談を受けた。

現在、日本の鰻も稚魚が取れなくなり、鰻のかば焼きは高値どまりで、なかなか生活者には手が届かなくなってきている。

調べてみると、最近の鰻の出荷量は、鹿児島県、愛知県、宮崎県、静岡県が多く、だいぶ差が開いて、高知県、徳島県、三重県と続く。

輸入先を見ると、中国が圧倒的に多く、その他では台湾が挙げられる。

日本で養鰻業を営むには、毎年申請が必要で、許可制になっているとのこと。

高知県には養鰻業者として19社程登録されているようです。

養鰻業者は高知県淡水養殖漁業協同組合を組織していて、情報交換等を行っているようです。

私は、M先輩から話があった時に、これは面白い話だと感じ、高知県の水産の担当者とお会いしたりして情報を集めはじめました。

その中で、地元高知では清流四万十川流域に、有力な養鰻業者を紹介いただき、先日、訪問してきました。

このS社のO社長は業界の代表的なお立場でもあり、素人の私に丁寧に養鰻等に関してご説明いただきました。

まず初めに、インドネシアからの依頼である、日本の養鰻のノウハウを教えて欲しいし、
指導に来て欲しいとの要望があると伝えると、ご本人O社長は7年前のご自分でインドネシアの養鰻場の状況を視察した経験から、先ずは勧めないとのことで。

そこから、色々何故なのかを伺うことになった。

その理由は、インドネシアの養鰻池には、塩分が強いこと、水が真っ黒で汚く、ホルマリン等を使用していたという状況から、現地の生産者の意識は変わらないだろうとのこと。

日本並みに水質や十分な環境を整えるには多額の費用が掛かるので、そこまでは、整備しないだろうとのことでした。

その後現場を見せていただきましたが、それは素晴らしい設備で圧倒されました。

設備に一億円、運転資金に一億円が必要とのこと。

特に私が感心したのは、病気対策です。

生き物ですら、野菜や果物と同じで、色々な原因で、病気を心配しなければなりません。

先ずは、ウイルスや害虫対策には水温を34℃まで一週間ほど上げる。

腸の病原菌には餌に薬をまぜる。

等々で、実際には管理者がうなぎの生態を見て何が原因なのか判断できなければならないとのこと。

実際に見せていただいた素晴らしいクリーンな施設でも起こりうるということなので、インドネシアでそこまで管理できるか、施設も含め、そう簡単ではないと実感しました。

その辺の事情を簡単にM先輩に報告しましたが、最近の現地での状況は7年前に比べれば大きく進歩しているとのこと。

しかし養鰻業者のO氏によれば、インドネシアの責任者が少なくとも一年来日して研修して欲しいとのこと。

私としては、M先輩からの話をそのままにしたくないので、何とかまずは責任者が日本へ短期に出張されて、文化的な違いを含め日本の養鰻の状況を確認して欲しいと感じています。

平成30年9月22日 鍵山 武男

規格外農産物の新たな物流・加工流通の仕組み

各地域でも同様な状況と思われるが、高知県は特に自然環境に恵まれ、新鮮な農林水産物が豊富なだけに、販売先(市場、JA,直販、道の駅)へ出荷できない物(色、形、サイズ等の理由)は破棄しているものが多く見受けられる。

例えば、弊社が栽培している青ネギは常に外葉の2枚は捨てている。

ニラ、ミョウガ、トマト、キュウリや多くの柑橘類にもいえる。

一般的には、自家消費や堆肥に利用している程度である。

消費者の目に映る買いやすさを求めて、また、従来の流通での企画を守るために、規格外品として販売できない農産物も多く生産されている。

一部は加工用として販売されているが、廃棄している物も多い。

一次産品を無駄にしないで、新たな商品開発、流通、販売の仕組みで、生産者の収入増を計り、更には、地域経済の発展・振興に役立てることはできないだろうか。

最近の例では、高知県の特産である、柑橘類(文旦、ポンカン、小夏)の規格外品を活用して、関東の市場に向けてカット・フルーツ用に一部、利用し始めている。

規格外は通常、果汁、ジュースとしてすでに加工・販売されているケースが多いが、その一歩手前の状態の柑橘を、新鮮なままでカットして販売する、流通技術と仕組みが始まっている。

これには、生産者が出荷時でのカツト用としての選別が必要であるが、生産者にとっては、破棄していたものが、もしくは、安価でジュース用に回していたものが、新たな価値を生むことになる。

弊社が栽培している青ネギの外葉も最近はネギ焼きそばや、炒め物にして、イベントで
商品化して販売を始めている。

ご承知のように、最近は量販店等でも多くのカット野菜の販売が伸びている様である。

消費者にとっても便利な食材が増えている。

従って、従来の野菜や魚類がそのままで、店頭で販売するよりも加工された状況で販売されるケースが圧倒的に増えている。

今後は、一次産品を無駄なく活用しながら、新たな、商品開発に重点を置き、食品安全基準や衛生管理の行き届いた施設を、生産者が相互に活用できる拠点ができれば、新たな加工食品に関して、生産者としても加工施設運営に関しても、一体化して取り組める状況となり、栽培する時点から最終商品を常に意識しながら、無駄のない効率的な仕組みが可能となるのではないでしょうか。

これらの状況は、市場流通の変化から、様々な新しい競争が生じ、新たなアイデアが生まれ、その中から、新たな食品流通販売が発生してきている。

高知でも、かなり多くの生産者が、メロンを栽培しているが、従来、生産者が求められているのは、見かけも良い美味しいメロンということで、栽培途中で,沢山出来るメロンの中から、一個か二個を残し多くは摘果している。

然しながら、最近では、カット用メロンとして、一本の苗からできるだけ多くのメロン(6つから8つ)を栽培して欲しいとの要望があり、生産者は従来からの常識を変えるのに、頭を切り替えなければならない。

更に、これらの変化に対応した、物流・流通の仕組みも用意しなければならない。

平成29年1月17日 鍵山 武男

高知県から首都圏への物流戦略

国内での宅配サービスは、あらゆる商流になくてはならない存在になっている。

CtoCはもちろん、BtoB,CtoBそして勿論BtoCの流通にとって定時制であり、安心、安全で、
尚且つ、定額で、代金回収等の付帯サービスも充実している。

このサービスは更、コンビニ等でも受け取れる仕組み等に見るように進化をし続けている。

使用する側は、すでにこのサービスは当たり前と受け止めているが、宅配業者側はそれなりに懸命に努力をしているに違いない。

だいぶ前に聞いた話では、Y社に於いては、次にサービスを実現させたいと計画しているプランが数多くあり、どの時期から実視できるか、現場の実態を注視しながら、徐々に導入をしていくとのこと。

詳しく調べたわけではないが、日本の国内での宅配サービスのレベルは諸外国に比べると、ずば抜けて高付加価値サービスを実現しているに違いない。

しかしながら、狭い日本といても、都市のように混雑して常に渋滞している地域や、駐車が難しく、届け先の不在率が高い等の条件はあるものの、密集しているだけに集配の効率は高い所と、中山間地区や過疎地が増えている地方の様に、長い距離を走る割には荷物がない所とさまざまであるが、ほとんどが地域別のゾーンタリフを適用しているために、採算に合う部分と不採算の部分をプールして料金が設定されているに違いない。

高知県の生産者が市場としては大きい、関東圏へ農産物を出荷する場合、新鮮なままで届けるためには、全国翌日配達時間指定の宅配便が一番確実で信頼で来るために、中山間地区や過疎地の生産者は通常、宅配便しか考えられない。

しかしながら、例えば、農産物10キロ、価格3000円の商品を送るのに夏場のクール便であれば1,500円程かかるとすると、三分の一が物流費になる。

首都圏近郊の産地のものと比べると市場では物流費の関係で割高になる。

高知県の地元生産者にとっては、JAや園芸連の販売・配送サービスはある意味でなくてはならない存在でもあったし、現在も必要とされているが、市場外流通が増えて、買い手が生産者と直接結びつく傾向が進み、食材として使用される農産物が増えている現状では、産地から首都圏まで纏まって輸送するニーズが増えている。

ターミナルで中継する路線的なサービスでない、宅配便に負けないスピードで定時性があり、尚且つ、安価なサービスが
構築できないかである。

そこで、検討すべきは、個々の生産者からではなく、買い手が望む地域の生産者を取りまとめ、生産物ごとの温度管理もできる輸送の仕組みである。

そこで、高知県の生産者を取りまとめ、長野県のきのこの生産者と契約して、長野の農産物を首都圏500店舗ほどに毎日届けている便に、高知から送る農産物も合わせて配送してもらう仕組みである。

長野の契約先は、各小売店のバイヤーの意向で、店舗に並べる包装加工まで実施できるので、高知県の農産物をバラ出荷しても、中継地の長野で店舗に並べる包装までして、出荷できる。

更に、相互にメリットがるのは、物流コストの削減はもちろん、離れた地域の連携で、
夏場に強い長野県と冬場に強い高知県で、客先の店舗に常に潤沢に商品が供給できることにある。

相互に隣県との競合はあっても、離れて地域での競合は殆どないといっていい。

離れた地域の特色を生かした物流・流通の合理化で、相互にウイン。

ウインの関係を推進できると確信している。

高知県の農産物のさらなる販売拡大で、将来は、輸出の拡大をも視野に入れたい。

平成27年11月18日 鍵山 武男

物販の楽しさ

以前にもお伝えしたことがありますが、土佐人の一般的な気質は、明るく、親しみやすく、
親切なところが、都会とはかなり違うように感じます。

高知の女性は、“はちきん”と呼ばれ(8つの玉)、独立心が強く、だらしのない旦那と解ると簡単に離婚するようです。

シングルマザーとよく出会います。

これは、多くのレベルの高い男性が県外で出てしまっていることにもよるようです。

又、高知は、中山間地区が多く、厳しい環境の中での生活習慣、更には、昔は多くの漁師が遠洋マグロ、かつお漁に出かけ、長い間、留守をするので、自然と女性の独立心が強くなったのかも知れません。

土佐の女性のすばらしさを感じるのは、高知での数多く開催される祭りや、通年で、市民や旅行者の宴会場になる“ひろめ市場”です。

梅雨も明けたのかと思われる7月の中旬、4日間、開催された高知城祭りに、夕方から夜の9時にかけて、お城の2ノ丸会場で、仲間と一緒に屋台で“焼きそば”を作り、販売しました。

屋台で販売するのは、それなりに器具を持ち込んだり、食材の準備をしたり慣れないと大変です。

必要なものを忘れると、お城を降りて取りに行かなければなりません。

又、販売商品がどの程度売れるのかの予測が難しく、多くの場合、予測が外れるケースが多いと思われます。

今回も初日は予測の三分の一程しか売れませんでしたが、土曜・日曜の2日間は予想に反して、あっと,言うまに、売り切れてしまいました。

販売の楽しさは、自分で作った“焼きそば”をお客様が、美味しそうと一言って、買ってくれる時や、食べた後で、立ち寄っておいしかったから、土産に家に持ち帰るからもう一つ頂戴と注文してくれる時など、この触れ合いの時が最高に嬉しく、時には世間話に花が咲いて、時を忘れる場合です。

勿論、時には、食べた後に立ち寄って、少し味が濃かったとか、薄かったとか、率直に伝えてくれるのもありがたいことです。

レストランを経営している、仲間はビールや牛やポークの串焼きも販売していて、一緒にお客様に対応している訳ですが、特に目立つのは、女性で殆ど男性と同じようにビールを注文する場合が多く、それも、何度も現れる女性が多いことにも驚きます。

又、夜分にもかかわらず、かなり年配の女性が多く祭りを楽しんでいることです。

若いカップルの場合でも、車を運転するケースが多いので、男性がノンアルコールで女性が生ビールを整然と注文するケースも多く見受けます。

それがごく自然な状況なのが土佐なのでしょうか。

中には、汗をかいている私に向かって、熱中症に気を付けて、と注意してくれる親切な方や、年寄(私に向かって)休み休みやりなさいよ、とか、親切に声を掛けてくれる。

物販を通して様々な触れ合いができることは幸せ限りです。

夜の9時を過ぎて、当日の手じまいをして、広い城内の車道を降り始めましたが、暗いのと道が凸凹で狭く、何か所も分かれ道があるので、一度、道に迷ってしまい、暗闇の中で出口の方向が全く分からなくなってしまいました。

途方に暮れていると、一人の美しい若い女性が私の状況をみて、出口まで案内するから、後をついてきてくださいと車で先導してくれました。

高知の女性のすばらしさを身をもって体験することになりました。

平成29年7月18日 鍵山 武男

物流コスト

40年程前までは、鉄道運賃は貨物の負担力に合わせて、何等級にも区分され、素材や一次産品などの付加価値が低いものは、運賃が安く設定されていたような記憶がある。

特殊なものを除いて、一般的には現在の物流費は、物流事業者からすれば、低く抑えられている気がするが、運賃負担力のない一次産品の生産者からすれば、販売原価のかなりの部分を占めるので、市場の競争環境や買い手のパワーのためか、いつも利益を圧迫するのが物流費だと考えがちである。

これは、国内のみではなく、海外に少量を輸出すると運賃が商品原価よりも高いケースが多くなる。

先日も、香港のバイヤーからの要望で、有償サンプルで高知の美味しい蒲鉾を10キロ程送ったが、クール料金を入れると、
運賃が1.5倍になってしまった。

私どもで、栽培している、青ネギの年間値決めの値段では、高知から関西に送っても、運賃が販売価格の三分の一ほどになる。

しかしながら、トラック会社の立場で計算してみると、この料金でよく運んでくれているなと逆に感心する。

現状で生産者にとって救いなのは、運送会社の運賃や輸送日数等に関して幾つかの選択ができるところである。

しかしながら、高知県から関西や関東向けで検討してみると、輸送の選択の範囲が限られていて、物流量が九州地区より少ないので、運賃が割高になるケースが殆どである。

私が、物流業界にも身を置いていることから、色々の相談を受ける中で、改善してコストを下げられるケースもある。

例えば、現在運んでいるケースのサイズを少し変えることで、運送会社が運んでいるロール・コンビテナーに無駄なく積むことができれば、生産者、運送会社にそれぞれメリットが出てくる。

このことは通常大量の荷物を出荷している生産者であれば当然のことであるが、小規模の生産者が多い高知県では其々があまり検討しないで物流事業者に依頼しているケースも多い。

荷役の合理化から、ロール・コンビテナーでトラックに積み込んでいる場合は、荷物のサイズで積み込み量がかなり変わってくるので、それぞれ再検討して、物流事業者と相談して欲しい。

さらに、配送先に関していえば、宅配便の料金はドア・ツウ・ドアと定時制が要求されるために割高ではあるが、高知の山間部に配送しなければならないケースでは、そのデリバリーだけ考えれば大きな赤字であろう。

しかしながら、利用者にとっては、ゾーン・タリフゆえに、考え方によれば大きなメリットがある。

私は現在、10社程度の地元の長距離輸送の運送会社にケース・バイ・ケースで相談しながら5社程と契約料金でお願いしている。

その中で感心するのが、水産物を専門に運んでいながら、農産物や加工品も併せて受託してくれ、水産物を運んでいるので、温度管理等が信頼で来る事業者もある。

また、他に比べて、温度管理もしっかりしていて、競争力のある物流事業者は自らの輸送ルートごとの設計が明確で、市場や夜間の荷受けの条件等を確認して、輸送量と配送先が条件に合わないと受託しないで、常に計画的に受託し、生産者の出荷がスムーズに輸送できるように、コントロールしている。

それぞれ、物流事業者はそれぞれの、ベースカーゴを持ちながら、独自の戦略で荷主を開拓しているので、それらの個々の事情を把握しながら選択して、それぞれの生産者にとって最適な輸送を提案している。

更に、規模の大きな全国展開の大手の物流事業者に関しては、多方面に輸送が必要な大手の生産者に対して物流量による割引運賃を適用してもらうよう交渉するのが通例である。

今後は、個別の対応をしながら、輸送ルートや物流量の状況を把握して、生産者にとっても物流事業者にとっても相互のコストが削減できる仕組みを徐々に組み立てられれば、高知県の生産物の市場競争力が向上するに違いないと確信している。

平成28年11月22日 鍵山 武男

対面販売の楽しさ

年末に、高知から東京へ出向き、対面販売する機会がありました。

高知県の商工会議所が東京秋葉原の「日本しよくひんかん」での販売の機会を与えてくれました。

ご承知の方も多いと思いますが、ここでは、日本各地の食品が集められ、ところ狭しと、並べられています。

常設の場所もありますが、それぞれのプロモーションの場所も用意されて、各地のフェアが頻繁に開催されているようです。

今回は年末から新年にかけて、高知フェアが開催された中で、3日間、私の希望の日取りで試食、対面販売に参加しました。

同時期に、高知からの生産者・販売者の仲間が5名程参加して、高知商工会議所の担当者とともに和やかに、摂客対応ができました。

私は、弊社が販売している、商品2点を持ち込みました。

3年前から販売開始している、
焼き肉のたれ「にんにくやきにく極めたれ」と昨年開発して販売をおこなっている、ネギ味噌の2点です。

平素は、高知の地元のスーパーや銀座のアンテナショップでも販売していますが、ただ、ビンを並べているだけでは、初めてのお客様にとつては、味も解らず購買動機も起きないのが通常ですから、試食販売の機会は販売拡大に役立つ場となります。

お客様にとっても、試食することで新たな発見の場となる訳です。

数々のお客様と接する中で、さまざまなタイプがあることが解ります。

勿論来店する目的もそれぞれ違うわけですから一様にはいかないわけですが、例えば、高知という地域に関心のある方や知人がいらっしゃる場合は、私どもとの会話も弾みますし、新たな知人との出会いもあったりして、一気にお近づきになるケースもあります。

これはお一人との対話が多くの口コミの機会にもなると思われます。

私も、なんといってよいか、人好きのタイプですので、初めてのお客様との対応は苦にならずに楽しみの機会と感じています。

最近はメールやネツトがありますので、気になった方にメールしたり、フェースブックにアップしたりすると、突然来店してくれる方もいて嬉しい限りです。

先日、高知へ旅行に来た方にお土産で、焼き肉のたれを差し上げていたところ、
家族の方に評判で、新たに取り寄せたいということの連絡がありましたので、秋葉原で販売していることを伝えると早速買い求めに来てくださいました。

大手の企業が新商品の販売のためには、多くの宣伝費を使って、一気に大量の商品を流通させるのでしょうが、中小零細企業の場合は、生産量にも寄りますが、着実に販売ルートを開発すると同時に、諸食販売等の機会を数多く実施することが大切と感じています。

一つ一つの商品を着実に販売していくことで販売店との関係を徐々に信頼関係が発展して次のチャンスの機会も生じてくるに違いありません。

私は、高知でもできるだけの機会を活用して対面販売することを心がけています。

昨年の暮れから新年にかけても、加工品の2点と、栽培しているネギを活用して「焼きそば」を作りながら高知城の追手門広場で、光の祭りのイベントの機会を活用して対面販売しています。

昨晩の数件のお客様から、美味しい焼きそば、何で味付けしているかを聞かれ、焼き肉のたれを販売することができました。

このような機会は大変嬉しく感じます。

平成31年1月5日 鍵山 武男

経営コンサルタントと物流

筆者は、N大手物流会社を定年後フォワーダーの協会と川崎港の港運関係の協会に勤務させていただき、15年前に現在の物流コンサルを中心にした会社を立ち上げ現在に至っています。

物流の現場の経験から、米国、中東、アジア(香港を中心)の現地に駐在経験をすることができ、3PLを始め、数々の物流プロジェクトに携わることができました。

通算すると、物流一筋に50年余りの取組をしてきたことになります。

現在もN社からは、参与という辞令を毎年いただき、それなりの活動を続けながら、商工会議所や幾つかの団体の物流・流通のアドバイザーを務めさせていただいています。

継続してきただけに、改めて振り返ると、数々の経験で学んだことが、現在でも役に立つことと、経験に基づく的確なアドバイスができているのかなと自負しています。

さらに、常に新たな課題や疑問に対応することで、現在までの知識と、現状を確認することで、将来の方向性が見えてくる場合が多くあります。

アップツウデイトな状況と将来展望を語れるのは、長い間に、多くの友人、知人と交流を深めていったことで、それぞれから、違った角度で情報やコメントをいただくことができます。

従って、知人とのネットワークや人脈が、私の事業をさせえているといっても過言ではありません。

また、15年間余りにわたり、月に2回、この運輸新聞さんにコラムを頂戴し、拙い文章を掲載していただいていることで、紙面を通じての、皆様との交流が続いていることに感謝している次第です。

そんな中で最近、国際的な経営コンサルタントが日本を中心にした物流関連の情報をヒヤリングしたいとの連絡がかなり頻繁にあります。

グローバル化が進展している中で、日本の物流関連の情報はアジアの中で特に注目されているのでしょうか。

海外から日本の物流事情がなかなか見えにくいのでしょうか。

または、経営コンサルタントとして、当方のようなニュートラルな機関からの情報を得たいと考えているのかもしれません。

言い換えれば、あらゆる物流のユーザーにとって、物流に関する情報は新たに展開する国際戦略にとって、欠かせない要素であるに違いありません。

コンサルタントからのと言わせの内容は、種々様々ですが、今までの経験では、特に対応に困ったことはありません。

問われている内容にもよりますが、物流関連の基礎知識を持たれているコンサルタントは話が進めやすいのですが、物流に余り知識がなく、潜在意識や思い込みが激しい方などは、話が理解してもらえないケースもあり、何回も原点に立ち返って、
解説させえて頂くケースもあります。

ほとんどは、電話インタビューの形式ですので、一時間で済まない場合は延長するか、改めて、日時を決めて対応する場合もあります。

電話インタビューの場合は、双方がどこにいても良いので、決まった時間だけの拘束で済みますので、大変便利で、お互いに時間の節約になります。

今後も、継続的に、現状を直視し、正確な情報から、的確なアドバイスが続けられるよう努力してまいりたいと考えています。

物流・流通のノウハウと経験が少しでも、関係者の役に立つことを嬉しく感じています。

平成28年9月16日 鍵山 武男

現状の3PLの取り組み

川上から川下までの流通の過程、即ち生産から販売までの流通・物流は地域から、国内、海外、グローバルへと広がり、急速に変化を続けている。

この過程での一番のカギは、同質のものであれば、いかにコストを下げられるか、にかかっている。

最大利潤を上げるためには、生産、流通、販売の過程での在庫削減がどこまでできるか、消費者のニーズの変化、すなわち、競合他者に先駆けて、より好まれるものをいち早く市場に出せるか。

合わせて、息の長い定番商品を開発し市場に流せるか。

もちろん、扱う品目により、取り組み方が異なるのは当然で、大別してみても、1.生鮮食品、その他食品、2.雑貨、3.家電製品、4.車両・機械,5.医薬品、6.書籍類等、様々なニーズによる流通・物流のビジネスモデルが検討されるに違いない。

ある大手のN物流会社の何人かにヒヤリングしてみると、従来国内物流の3PL部門は、稼ぎ頭で注目されていたが、最近では、国内の人件費や経費が負担となり、現状でベストな3PLのオペレーションでも利益確保が困難な状況にあるらしい。

それに加えて、グローバルに取り組んでいる部門では、引き合いも多く、様々な角度での提案が可能で、顧客対応に忙しい様子である。

特に、グローバルでは部品調達に絡む物流が、情報システムの高度化と海外での物流品質が著しく向上していることから、組み立て並びに生産に関しての地域等の選択の幅が広がり、そのことから、コスト削減や利益拡大に関しての見通しも有利に検討できるらしい。

販売に関する、流通・物流に関しては、殆どの地域で、ハード、ソフトのインフラが向上していて、リードタイムに対応する輸送手段の選択が従来よりも進歩してきているのでは。

生鮮食品に関しても、冷凍。

冷蔵技術が着実に進化してきていて、グローバルに長期の輸送にも品質が劣化しないように工夫されてきている。

例えば、鮮魚や冷凍魚、生鮮野菜はもちろん、冷凍・冷蔵して輸送できる日本の美味な加工食品は、季節を問わず海外にも輸送でき、日本食ブームがさらに広がるに違いない。

現在では各地で、B級グルメが開発されている。

温度管理が必要な輸送が益々進化すると、莫大な経費が掛かる大型の冷凍・冷蔵施設も削減できるのでは。

流通の効率化が、無駄な設備を省いていくに違いないが、植物工場やきのこの生産のように工場で生産できるものは別にして、一般の農産物は、自然災害や季節変動の影響を受けやすく、常に安定した流通・物流の仕組みが難しく、生産者と買い手の間での中長期の契約ができず、勢い生鮮市場やセリでの値決めに頼る部分は捨てがたく、厳然として需要な役割を果たしている。

しかしながら、食材や加工食品の分野では多くの取引が個別契約で売買されるので、これらに対する、物流システムの構築が望まれる。

最近、BtoBやBtoC並びに,CtoCの取引にとって、宅配システムは需要な役割と安定したサービスを提供しているが、商品価格の低い農産物等の輸送費比率はどうしても高くなり販売上のネックになっている。

したがって、ある地域の複数の生産者から、例えば、多くの貨物が集中する首都圏への輸送即ちCtoBの輸送システムを構築することも大きな課題と考えている。

その為には地域の生産者が共同で利用する仕組みを検討し、具体化する必要がある。

これも、3PLといえるのでは。

平成27年11月7日 鍵山 武男

高知県の物流システムを考える

一次産業が中心の高知県の県外との物流に関して、最近、色々な立場の方がたと、話をさせていただく機会が多くなっているが、特に高知県の場合は主要な仕向け先である、関東圏や関西圏向けの輸送コストがどうしても割高にならざるを得ない。

その原因を考えてみると、現状では海上ルートもなく、鉄道輸送に関しても貨物駅は皆無で、オフレール・ステーションのみが存在するに過ぎない。

従って、トラック輸送に限定される。

更には一次産業の貨物が中心であるから、特に夏場は、温度管理が必要な貨物が主流を占める。

魚類に関しても冷凍・冷蔵・チルド等の温度帯の管理が必要で、野菜や果物に関しても、それぞれの種類によって、輸送中の最適な温度帯は異なる。

保冷庫からそのままトラックに積み込まれる貨物もあるが、圃場から収穫して、常温の状態の出荷場で荷捌き選別作業をした状態で、急に冷蔵や10℃以下の状態で輸送すると、結露したり、着地での日持ちが悪くなったりする。

作物ごとの輸送・配送時の適温は、その種類によっても変わってくるので、悩ましい。

ご承知のように、貨物はまとめれば、まとめる程、運賃コストは低減される訳ですが、高知県の場合、東の室戸岬から西の足摺岬まで、東西に長く、高速道路網も十分とはいえず、
個々の生産者の出荷のボリュームは少量の場合が多く、かなりの集配コストが掛かる状況で、さらに首都圏までの距離を考えると、他県に比べて、物流コストの低減はかなり困難な状況にある。

多くの荷主(農作物の生産者、水産業者)は、コストの安い一次産品の場合には貨物の価格に比べて、多額の運賃を覚悟しなければならない。

当社で栽培している、青ネギを関東圏に輸送すると、運賃が商品代金の三割以上掛かることを考慮しなければならない。

それでも、輸送会社の立場で、自分なりに計算してみると、決して高い運賃ではないことが理解できる。

先日、高知の大手の物流会社S社を訪ね、現在の高知県の物流に関して、ヒヤリングさせていただいてみた。

物流会社もあれこれと施策を考え、テストもしているが、簡単に妙案はなく、一件、一件の荷主を確保し、その要望に応えていくしかないわけである。

高知県の農産物の配送は長い間、園芸連がJA等との協力のもと、高知県から主要地域の主として市場へ届けている訳ですが、それでも、かなりの頻度で、トラックが満載にならず、コスト割れで走らなければならないケースも多い状況とのこと。

最近、筆者が依頼されるのは、市場向けではなく、大手流通チェーンへ直接販売する場合の輸送で、これに答えるには、様々な角度で検討する必要があると考えている。

できれば、首都圏で高知県の農産物を一手に取扱ってくれる、冷凍・冷蔵設備等が完備した事業者がいれば、その拠点が首都圏の高知産農産物の市場(卸・小売りの拠点)になりえるのではないかと考え、流通の面から考えても、輸送・配送面から考えても弾力ある対応が可能になるに違いない。

この辺の所を、近々、地元の産学官民連携の研究会を発足してもらい、色々な角度で検証してみたい。

先ずは、できるところから早めに実行に移し、徐々に関係者の理解の上で、使いやすいプラット・ホームができればと考えている。

平成29年3月18日 鍵山 武男

物部川

最近は、両親の故郷である高知にほとんど滞在して、地元の方々との触れ合いを大事にしながら、親戚、知人と農業法人を立ち上げ、若者二名を社員にして、青ネギを栽培し、
高知の農産物や果物を県外に販売したりして、農業の六次産業化を目指している。

会社・自宅の場所は、土讃線、土佐山田駅から約4キロ、一級河川、物部川の川沿いになります。

河川延長は71キロメートル程である。

私は父の仕事の関係で生まれは門司であり、住んだことはないが、高校時代までは、しばしば、この物部川の流域で、魚を取ったり、泳いだりした、懐かしい記憶が残っている。

今から50年程前の、この物部川は現在と全く違い、水も豊富で、アユをはじめ、海老やごり、ドジョウ等々、手づかみできる状況で、大変豊かな状況でした。

現在もそれなりに、素晴らしい川ではありますが、昔とは程遠い状況です。

戦後電力開発のために、多くのダムを造ったり、水源には植林が進み、雑木林(ははそ)なら、クヌギの林がなくなり、植物プランクトンが育たず、魚や貝類が住みにくい河に徐々に変化してしまったようです。

先日、この物部川のお祭りに、畠山重篤さんが招かれて、川上から川下まで視察され、高知工科大で公演されました。

NPO法人森は海の恋人の理事長をされていて、2011年3月の大震災で全滅したカキを、短期間で復興することができたのは、川上の森を長年にわたり、ブナやナラを植林して雑木林として、食物プランクトンを大量に育成していたために、
海はカキの養殖の筏が流されたり、流木が散らかったり、油が流れて黒ずんだ海が、調べてみれば、水中には、カキに必要な植物プランクトンが食べきれないほど生きていたとのことで、カキの養殖が短期間で回復できたとのこと。

森は海に貝類や海藻、魚が必要とする植物プランクトンを大量に届けていることで、海と森とは相思相愛の仲といえるとのこと。

畠山さんに個別に話を伺ってみると、物部川を視察してみて、魚類の生態系に関しても
かなり厳しい環境であると心配されていた。

できれば、現状を関係者で再度確認して、どの様にして物部川を再建するかじっくり取り組む必要がある。

それには、自治体等に頼るのではなく、関係事業者や地域住民が自主的に方向性を定め取り組んでいく必要があり、過去の取組みも踏まえ、再度、一歩進めたいものです。

自然が豊かなのは、そこに流れる河川が生き生きとしていなければならないと考えます。

生物の生命にとって必要なものといえば、水と空気と土壌それに太陽であれば、まずは水の流れを綺麗に取り戻したい。

地域の皆さんで問題を共有して取り組んでいきたい。

平成29年02月13日 鍵山 武男

ポンカンの収穫作業について

みかんの産地では、年末になると、猫の手も借りたくなるほど、収穫に忙しくなるのは毎年のことのようだ。特に年末は何かとせわしいのに加えて、最近では人手不足が深刻になっている。

知り合い果樹園から、一か月前程から、収穫に来てもらえないかとの声がかかっていた。

しかしながら、その果樹園までは、片道50キロはあり、年末12月10日から来年の1月一杯の要望である。

最近高知県へカルフォルニアから移住してきたK氏と相談したところ、年末特にすることもないし、ぶらぶらしていてもしょうがないし、知り合いから頼まれたのであれば、アルバイト料がもらえるのなら、手伝いに行こうということになった。

毎日通うのも大変なので二人で宿泊できるところはないかと要望した。

とにかくどんな作業なのか月初めに現地へ出向いてみた。

農園は高知県須崎市浦ノ内で、ポンカンの栽培がおこなわれている。

風光明媚な場所で、目の前には景色の良い横浪半島があり、その内側の湾に面した日当たりの良い山の斜面にあります。

この浦ノ内は横波半島の内側の立目ポンカンと合わせて、糖度と酸味のバランスが程よく大変美味しいと評判です。

年末から年明けの出荷時期になると黄色く色づいてきます。

M農園は現在の代表の叔父さんが苦労して台湾から苗を輸入し、初めて栽培されてとのこと。

収穫作業は朝8時から夕方5時までで、昼の一時間と2時間ごとに10分程度の休憩が入るとのこと。

服装等のアドバイスを受けて、作業内容を現場で説明してもらった。

ポンカンの木はかなり高いので、脚立と竹製の梯子が用意されていた。

山を見上げるとかなり傾斜が厳しく、まともに作業ができるか心配になった。

山の斜面に沿って、収穫用のモノレールが走っている。

作業としては、片手に専用鋏を持ち、みかんの枝を切り取り、収穫前に、みかんを痛めないように再度切り取る(二度切り)。

収穫したみかんを近くの枝に引っかけた、10キロは入る丈夫な袋にいれ、一杯になると、プラスチックの箱に移し替える。

脚立や梯子に乗って収穫している場合は、下の人に、からの袋と入れ替えてもらう。

山の斜面で、3から4メーターほど脚立の上に立って作業をすると足がすくむようだ。

ちなみに私は、一度地面に落ちてしまい、その後はなるべく地面から収穫するようにとみなが心配してくれた。

それでも地面の傾斜がきついところが殆どで、注意していないと滑り落ちそうになる。

毎日9人から10人程での作業だが、休憩時間等では親しく話し合い、助け合うムードを大切にしている。

一日の作業が終ると、目の前に広がる海と湾の景色が夕日を浴びて輝いている。

ありがたいことに、ポンカンの農園の真下の道を隔てた、海岸渕に農園が管理している別荘があり、そこに宿泊できることになった。

遠方から手伝いに来ているのは我々だけではないのだが、快く願を聞いていただいた。

ポンカンの収穫作業を通して、農園の方々や手伝いに来ている方々との触れ合いを大切にして、この年末を充実して過ごすことが出来るに違いない。

令和元年12月16日

土佐の小夏

高知も今年の冬は地元の方々が、寒い寒いと過ごしていましたが、流石に3月になると急に暖かくなってきました。

暖かくなると、人間の体は美味しい果物が欲しくなります。

自然の不思議ですが、この時期になると、高知では独特の美味しい味の文旦が出回ります。

文旦は生産者が殆ど年末に収穫して、適度な温度で保管します。

この暖かくなる時期に一斉に店頭や市場に並びます。

しばらく文旦が出回ったのちに、3月末ごろになると小夏が出回るのです。

夏みかんのように酸っぱくなく、みかんのような甘さもない、ほどよい甘さと酸味の優れたバランスと、喉をスーッと潤すジューシーさが何ともいえません。

数年の間、高知の柑橘の生産者とお付き合い続ける間に、果物の味にトコトンこだわる生産者S氏と知り合いになり、彼の果物栽培に関するこだわりを知ることになりました。

時々S氏から作業が終わる夕刻に電話を頂き、近くで一杯やろうといわれるので、喜んで出かけるのですが、ご本人は何時もビールグラスに烏龍茶で、みかん栽培のイロハを伺うはめになります。

おかげで、素人の私が短期間で、多くのことを学ばせていただいているのです。

従って、販売先に対してはかなりレベルの高い内容をお伝えすることができるようになっています。

最近、不思議に感じるのが、農産物や果物に関して、市場に出回る時期は、生活者が求める時期にそれなりの農産物が出回るということです。

これは長い間に生産物が消費者に選別されてきているのか、農産物の旬の時期は、生活者が求める時期に収穫できるタイミングになるのか。

いずれにしても自然界の素晴らしさに、時折関心するこの頃です。

物流の役割は、本当のそれぞれの作物の旬の時期に、タイミングよく届けることにあると、今更のように感じています。

平成30年3月5日

土佐の文旦

毎年、この時期になると、高知では彼方此方で、黄色く色づいた、直径15センチ程の、
土佐文旦を産直市やスーパー、果物屋、土佐の日曜市とあちこちで見られます。

高いものは、1個(約700g)が1500円ほどで売られますが、味は良くても器量の良くないものは、10キロ、1500円程度の価格で手に入れることができます。

なんとも言えない美味しい味と香りが魅力です。

親戚が、高知市から、西へ車で1時間半程の処(須崎の先の矢井賀)に12本ほどの文旦の木を手入れしていて、先日も仲間8人で、文旦を収穫に出向きました。

午前中3時間ほどで25箱程収穫ができ、来年に向けて木の手入れ肥料を施してきました。

収穫した文旦は、
2週間ほど倉庫で寝かして、甘みを引き出します。

この時期店頭には数多くの柑橘が出回るので、文旦は首都圏ではあまり知られていないようです。

文旦とは南方原産で、ザボンやグレープフルーツも文旦の仲間のようです。

S果樹園は通年で多くの柑橘を生産していて、土佐文旦の後は、小夏、ハウスでの水晶文旦等、出荷が切れることはないようですが、流石に高知の夏は暑すぎるので、その時期の出荷は少々休むとのことです。

先日、取引先に文旦の出荷ができる時期になったと伝えたところ、是非、関東の売り場で、文旦を広めたいので送って欲しいとの要望がありましたので、生産者の何件かに相談したところ、地域によって、1月中旬から出荷できる所と、2月中旬以降になるところがあり、取引先が求める、安価なものは、選別して早めに出る生産者があったので、早速、軽トラックで、300キログラムほど購入し、N社のターミナルで、使用済みの段ボールをいただき、20キログラムを一ケースにして、15ケース路線便で出荷しました。

取引先は、皮を剥いて、フルーツ・バスケットにして販売し、消費者に文旦の美味しい味を知って貰おうと取り組んでいるらしい。

文旦生産者に聞いてみると、多くの生産者がホームページ等で、個人から注文を受け、かなりの割合で固定客を持っているようで、S果樹園では、1万件以上の顧客リストがあり、リピータ―が大半とのこと、年度により、味にも差があるようで、美味しい年にはその年に何度も注文をしてくる方もいて、多くの方が、贈答品として数多く注文される場合も多く、生産のかなりの量が個人向け通販で販売されているようです。

さらには、産地で立派な文旦を一個一個、土佐和紙でできた巾着袋に入れて高価な贈答品としても出荷している。

我々は生産者の実態を今年は調査、研究して、来年この文旦の物流・流通を組み立て、一つの経営の柱にならないかと考えている。

文旦そのものだけではなく、皮を使った、マーマレードや化粧品。

果汁等の加工品も多く販売されている。

我々も新規に加工品の開発も検討し、勿論、輸出も関係者と相談したい。

平成28年1月20日

高知市朝倉針木産 新高梨

平素から親しくさせていただいている、田野町でトマト等の生産・販売をされているY氏から、新高梨の生産者の所へ一緒に出掛けようというので、高知駅で待ち合わせて出向くことにした。

この時期になると高知でも各地からの梨が店頭に並びだす。

Y氏は、新高梨を仕入れて、首都圏へ販売するのと、地元の道の駅で販売することを目的に、知り合いの生産者K農園へ出かけるという。

向かう先は、高知市朝倉針木という地域で、高知市が一望できる小高い山の上に梨園が幾つもあり針木梨組合を組織している。

水はけの良い急な斜面にある農園には、昼間は太平洋からの暖かい風が、夜は仁淀ブルーと呼ばれる清流、仁淀川からの涼しい風が吹き、この寒暖の差により美味しい新高梨が育つという。

新高梨は大正4年、梨研究の第一人者である菊池秋雄博士により、東京府立園芸学校玉川果樹園で誕生した。

K農園の営業ウーマンであるマダムによると、今年の夏は非常に暑く、台風もたくさん襲来していて、暑い夏に台風のもたらす雨は、作物にとっては大きな恵みになることもあります。

昔の新高梨の棚は竹でしたが、強い風が吹くと棚ごと大きく揺れて。

大きな新高梨はびくともしません。

今年の春は4年ぶりに好天に恵まれて、十分に交配することができ、針木の新高梨にとっては少し明るい秋となりましたが、それでも、夏の高温、少雨、ハクビシンの食害などで、豊作にはなかなか結びつきませんが、それなりに皆様にお届けする梨が収穫できたことに感謝一杯と話してくれました。

K農園では所狭しと収穫された梨が、函詰めされ、大きさや品質、傷のある無しで、それぞれ値段が表示されていました。

K農園では、ご主人を始め五六人が作業をされていて、奥様がお客様対応ということで、事細かに説明してくれました。

同行したY氏は早速、関東の販売先の商品と値段を確認し、地元の道の駅には別途の商品を注文しました。

私は、先ず美味しそうで手ごろな値段の物を選び、知り合いと、東京の家族向けに宅配の伝票に記載し、発送の依頼をさせていただきした。

K農園のマダムの話からも、年に一回の収穫で左右される一年間の苦労を推察することができるわけですが、直接接してみて、その真剣さを肌身で感じた次第です。

たかが、梨ですがそれを年間、手塩にかけて育てる生産者の苦労を感じることができ、大変感銘した一時
となりました。

多くの農産物の生産者が自然と共生し、その中から生活者が求めるものを栽培し販売するこの行為の尊さを身に染みて体験することができました。

更には、私も、今後も努力を重ねることの大事さを改めて実感することができました。

農業頑張ります。

平成30年10月5日